バリの寺院で見かける亀と龍。その意味をご存じですか?
旅の読みものブログ|Bali Travel Guide
2026.6.10
バリ島の寺院を訪れると、パドマサナ(Padmasana)の土台部分に、大きな亀と二匹の龍が彫られているのを見かけることがあります。
一見すると装飾のようにも見えますが、実はそこにはバリの人々が大切にしてきた宇宙観と自然観が込められています。
バリ・ヒンドゥー教の宇宙観では、
* ベダワン・ナラ
* ナーガ・バスキ
* ナーガ・アナンタボガ
という三つの存在が宇宙を支えていると考えられています。
ベダワン・ナラは巨大な亀の姿で表され、火や地中のマグマの力を象徴します。
ナーガ・バスキは水を司る龍。
ナーガ・アナンタボガは大地や土壌を象徴する龍です。
火・水・土。
バリの人々は、こうした自然の力が互いに調和することで、世界の秩序が保たれていると考えています。
地震や火山も宇宙の動き
バリ島は火山活動が活発な島です。
そのため古くから人々は、地震や噴火を単なる自然現象としてだけでなく、宇宙の大きな力の表れとして受け止めてきました。
神話では、ベダワン・ナラが動くと地震や噴火が起こるとされています。
これは自然への畏敬の念と、人間の力ではコントロールできない存在への敬意を表しているとも言えるでしょう。
私たちは宇宙という言葉を聞くと、星や銀河を思い浮かべるかもしれません。
しかしバリ人にとって宇宙とは、もっと身近な存在です。
人間、自然、神々。
そのすべてが繋がり合い、互いに影響しながら存在している世界そのものを意味します。
そのため、自然との調和を大切にし、日々のお供えや祈りを欠かしません。
宇宙のバランスが崩れれば、人の暮らしにも影響が及ぶ。
反対に、人々が調和を大切にすれば、自然もまた穏やかでいてくれる。
そうした考え方が、今もバリの暮らしの中に息づいています。
ルワ・ビネダ」に見る調和の思想
ベダワン・ナラを囲む二匹の龍には、バリ・ヒンドゥー教の大切な教えである「ルワ・ビネダ(Rwa Bhineda)」の思想も込められています。
ルワ・ビネダとは、相反するものが共に存在することで世界の調和が保たれるという考え方です。
昼と夜。
光と闇。
喜びと悲しみ。
善と悪。
どちらか一方だけではなく、互いが存在することで世界は成り立っていると考えられています。
ナーガ・バスキ(水)とナーガ・アナンタボガ(土)が、ベダワン・ナラ(火)の力を抑えながら均衡を保つ姿は、その象徴とも言えるでしょう。
寺院の土台に込められた願い
パドマサナの土台に刻まれたベダワン・ナラと二匹の龍は、単なる神話の登場人物ではありません。
そこには、
* 自然への感謝
* 災害への畏敬
* 宇宙との調和を願う心
が込められています。
バリの人々にとって寺院は、神々に祈る場所であると同時に、自然とのつながりを再確認する場所でもあります。
次に寺院を訪れたら
次にバリの寺院を訪れる機会があれば、ぜひ建物を見上げるだけでなく、その足元にも目を向けてみてください。
そこには、バリ人が大切にしてきた世界観や自然観、そして宇宙との調和を願う心が静かに刻まれています。
何気なく見過ごしていた亀と龍の彫刻も、その意味を知ることで、これまでとは違った景色に見えてくるかもしれません
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